新規事業がなくても、社内のDX化なら対象になる。制度の要点・必要書類と、介護施設のデジタル教育が該当するかの検証。
対象は3類型。いずれか1つに当たれば申請できます。②③は新規事業を立ち上げていなくても使えるのが最大のポイントです。
新商品の販売や新サービスの提供で新たな分野に進出すること。既存事業内での製造方法・サービス提供方法の変更も該当します。
デジタル技術を取り入れ、業務効率を改善したり、既存の商品・サービス・業務そのものを変革すること。実施時期も問われません。
省エネや再生可能エネルギーの活用によって、CO2などの温室効果ガスの排出を抑えること。
デジタル化・グリーン化は事業展開を前提とする要件がなく、具体的な実施時期も問われません。ただし訓練実施のきっかけを具体的に申告する必要があります。ここが様式第2号の書き込みどころです。
人材開発支援助成金の中でも突出して高い助成率です。訓練時間が長いほど経費上限が伸びます。
| 訓練時間 | 経費助成の上限 | 備考 |
|---|---|---|
| 10〜100時間 | 30万円 | 最も一般的なレンジ |
| 100〜200時間 | 40万円 | |
| 200時間〜 | 50万円 | |
| eラーニング単体 | 15万円 | 令和8年4月8日改正で30万円から引き下げ |
改正前は訓練時間に応じて最大30万円でしたが、改正後は一律15万円です。集合研修を軸にしてeラーニングを補助的に使う構成なら、30万円〜50万円のレンジが維持できます。
訓練と直結した機器の導入費用の50%を助成。1人15万円、10人以上で上限150万円。ローカルLLM実行用ワークステーション、GPUサーバー、業務用AIツールなどが対象です。
条件:訓練終了後1年以内に賃金5%以上の増額(または資格手当3%以上)が必須。対象外:パソコン・タブレット・空調設備。
全11項目のうち主なもの
期限が定められた実際の手順です。逆算して動かないと年度内に完結しません。
カリキュラム案を持参して対象可否を確認。DX化ルートは個別判断の幅が大きいため、様式第2号の書き方の当たりを付ける価値が大きい工程です。
様式第1-1号・第2号ほかを都道府県労働局へ。この期限を過ぎると受け付けられません。
出勤簿・受講ログ・確認テストなど、受講時間を客観的に立証できる記録を残しながら実施します。
様式第5号ほかを提出。令和8年5月14日から様式第28号(受講料等の価格設定に関する疎明書)が必須になりました。
令和8年度から新設。計画どおり従業員を予定の職務に従事させ、その状況を労働局に報告します。未履行の場合は支給取消し。
「必須」は全ケース共通、それ以外は訓練形態に応じて追加します。
| 様式 | 書類名 | 要否 |
|---|---|---|
様式第1-1号 | 職業訓練実施計画届 | 必須 |
様式第2号 | 事業展開等実施計画 — 本コース固有・審査の核心 | 必須 |
様式第4-1号 | 対象者一覧 | 必須 |
様式第11号 | 事前確認書 | 必須 |
様式第14-1号 | 事業所確認票 | 必須 |
様式第10-1号 | OFF-JT部内講師要件確認書 | 社内講師の場合 |
様式第10-2号 | OFF-JT部外講師要件確認書 | 外部講師の場合 |
様式第1-2号 | 通信制訓練実施計画書 | 通信制の場合 |
様式第4-2号 | 定額制サービスによる訓練に関する対象者一覧 | 定額制の場合 |
様式第14-2号 | 定額制サービスによる訓練による事業所確認票 | 定額制の場合 |
様式第14-3号 | 本社一括申請に関する事業所確認票 | 複数事業所の場合 |
様式第3号 | 職業訓練実施計画変更届 | 変更時 |
| 様式 | 書類名 | 要否 |
|---|---|---|
様式第5号 | 支給申請書 | 必須 |
様式第6号 | 賃金助成の内訳 | 必須 |
様式第7-1号 | 経費助成の内訳 | 必須 |
様式第9-1号 | OFF-JT実施状況報告書 | 必須 |
様式第12号 | 支給申請承諾書 | 必須 |
様式第28号 | 受講料等の価格設定に関する疎明書 — 令和8年5月14日から必須 | 必須 |
様式第9-2号 | eラーニング訓練実施結果報告書 | eラーニングの場合 |
様式第9-3号 | 通信制訓練実施結果報告書 | 通信制の場合 |
様式第7-2号 | 定額制サービスによる訓練の経費助成の内訳 | 定額制の場合 |
様式第9-4号 | 定額制サービスによる訓練実施結果報告書 | 定額制の場合 |
様式第8号 | 一般教育訓練等の受講証明書・受講修了証明書 | 該当時 |
様式第13号 | 育児休業中訓練の受講に関する申立書 | 該当時 |
常時雇用労働者数がわかる書類(会社案内等)/ 対象者が被保険者と確認できる書類(雇用契約書等)/ 訓練カリキュラム / 見積書 / 講師の経歴書
出勤簿・タイムカード / 賃金台帳 / 領収書・請求書 / 受講記録(eラーニングはログ)/ 修了証
令和8年3月2日付で「企業内の人事及び人材育成に関する計画に基づく訓練」が追加。この類型を使う中小企業は、事前に認定経営革新等支援機関の確認が必須です。
計画どおり従業員を予定の職務に従事させ、実施状況を労働局に報告する義務が新設。計画未履行なら支給取消し。
令和8年5月14日から、支給申請時に受講料等の価格設定に関する疎明書が必要。電子申請画面が未整備のため、当面は「その他必要書類」として添付します。
令和7年度以降、訓練コースを追加する際は変更届ではなくコースごとに申請する方式に変わりました。
介護施設が新規事業を立ち上げる必要はありません。ただし「ツールを閲覧させる」型の設計のままでは、対象外規定に正面から抵触します。可否を分けるのは業種ではなく、研修の形式・内容・時間・位置づけの4点です。
ビデオ視聴のみの講座は明文で対象外。「ツールの閲覧」型がこの形だと即座に不支給です。
類型② DX化 / 集合研修(外部講師)+ 補助的にeラーニング
ICT導入のきっかけ(人手不足、記録業務の負担、処遇改善加算の要件対応など)/ 導入する具体的なシステム名 / 訓練後に職員が従事する業務の変化。抽象的な記載は差し戻されます。
機器の導入費そのものには介護テクノロジー導入・定着支援事業(地域医療介護総合確保基金)が使えます。介護記録ソフト・情報共有機器が対象です。研修費は人材開発支援助成金、機器導入費はこの基金と経費を分ければ併用可能です(同一経費への重複受給は不可)。
すべて「介護業務のDX化」に紐づく設計です。右端の「様式第2号に書ける効果」が申請の肝で、ここが具体的なほど通ります。
| 分類 | 研修テーマ | 時間 | 様式第2号に書ける効果 |
|---|---|---|---|
| 記録 | 介護記録ソフトの入力実務と記録の標準化 | 4h | 手書き・二重転記を廃止して記録時間を短縮。表記ゆれをなくし、多職種が同じ精度で読める記録に統一する。 |
| 記録 | タブレット・音声入力によるベッドサイド記録の実習 | 3h | 記録の後回しを解消し、ケア直後の入力を定着させる。記憶違いによる記載漏れを減らす。 |
| AI活用 | 生成AIによる申し送り文・業務日誌の要約作成 | 4h | 長文記録の要約を自動化し、申し送り時間を短縮。伝達漏れというヒューマンエラーの削減に直結する。 |
| AI活用 | ケアプラン原案のAI下書きと専門職による検証手順 | 5h | 原案作成の初速を上げつつ、AI出力を鵜呑みにしない検証工程を標準作業として定める。品質担保まで含む設計。 |
| AI活用 | 業務マニュアル・研修資料のAI作成と社内ナレッジ整備 | 3h | 属人化した手順を文書化し、新人教育とOJTの負荷を下げる。離職時の技能喪失を防ぐ。 |
| データ | 見守りセンサー・睡眠計測データの読み取りとケア改善 | 3h | 夜間巡視の回数と経路を最適化。勘に頼らず、データに基づく個別ケアへ転換する。 |
| データ | LIFEへのデータ提出と科学的介護のためのデータ活用 | 4h | 加算の要件対応を確実にしつつ、フィードバック票を実際のケア改善に接続する読み方を習得する。 |
| データ | インカム・ビジネスチャットによる多職種リアルタイム連携 | 3h | 呼び出しのための移動というムダを削減。フロア間の情報伝達の遅延をなくす。 |
| 管理 | 勤務シフト作成システムの運用と人員配置の最適化 | 4h | シフト作成の工数を削減。人員配置基準を満たしながら、特定職員への偏りをなくす。 |
| 管理 | 個人情報保護とAI利用時の情報管理ルールの策定 | 2h | 利用者情報をAIに入力する際の線引きを全職員で統一する。他テーマとセットで必ず入れるべき単元。 |
10案の合計は35時間。単体では10時間要件を満たさないため、3〜4テーマを組み合わせて1つのカリキュラムとして申請します。「記録+AI活用+個人情報保護」で13時間、これに「データ」系を足せば16〜17時間と、100時間未満のレンジ(経費上限30万円)に無理なく収まります。
同じ内容でも「生成AI入門」では一般教養とみなされ、対象外になり得ます。「介護記録の要約における生成AI活用」のように、介護業務の工程名を必ず含めてください。訓練後にその職員が従事する業務が読み取れる名称であることが重要です。
制度が令和8年度で終了するため、訓練の完了までを年度内に収める必要があります。2026年7月末を起点とした推奨スケジュールです。
最も遅くて、2027年1月末に計画届 → 3月上旬に訓練開始 → 3月中に完了という日程です。ただし次の理由で推奨しません。
推奨日程で進める場合、10月末の計画届提出がすべての起点です。事前相談・研修会社の選定・様式第2号の作成をこの期間に収める必要があります。8月中に労働局への事前相談を済ませられるかが、余裕をもって申請できるかの分かれ目になります。
カリキュラム案と導入予定システムを持参。DX化ルートは「訓練実施のきっかけを具体的に申告」する必要があり、個別判断の幅が大きい領域です。対象可否をその場で確認できます。
eラーニング単体だと上限15万円。集合研修10時間以上を軸にすれば30万円〜50万円のレンジまで伸ばせます。
出席簿、eラーニングの受講ログ、確認テスト。実訓練時間の8割以上の受講を客観的に立証できる形にしてから訓練を開始します。
令和8年度から実施状況報告が義務です。研修後に実際にそのシステムを使う業務に就かせる前提で計画を立てないと、支給取消しになります。